術後/草野大悟2
の因果関係についての認識を明確にするように、との求釈明を行った。その上で、責任に基づいた適正な損害賠償を行うように大学側に要求した。
「大学側は、申立人の求釈明に対し、どれ位の期間があれば応じることができますか?」
裁判官が訊ねると、川上が立ち上がり、「一ヶ月もあれば十分です」涼しい顔で答えた。
村中は、川上を見上げた。川上は、泰然として笑みさえ浮かべていた。
裁判官は、スケジュール帳を確認した後、「それでは、次回は十二月二十六日午後二時からとします」
と告げた。
双方が調停室から出た。
帰りを急ぐ太郎の所に新田と林が近寄り、名刺を手渡して「よろしくお願いします」と頭を下
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