術後/草野大悟2
と代理人の渡辺弁護士が座っている。
「第一回目の調停を開始します。まず、申立人の意見から述べて下さい」
裁判官の指示により、渡辺が長髪をかき上げ、意見申立を開始した。
「脳外科の手術においては、静脈の損傷はかなりの頻度で起きるが、他の脳腫瘍の手術と比較して、髄膜腫手術時の脳出血の頻度は高く、6〜7%と言われています。
また、円蓋部髄膜腫摘出術の周術期合併症として、上矢状洞損傷、その他の静脈損傷、硬膜下または硬膜外血腫が指摘されています。
硬膜下血腫が生じれば、閉鎖腔である頭蓋内コンパーメントは限られた容積ですから、頭蓋内圧は当然上昇します。頭蓋内圧が上昇すると脳血流の低下による
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