術後/草野大悟2
これらに手を加えることはくれぐれも無しにして下さい」
新田がそう言った途端
「失敬な‼ 僕がそんなことするはずがないだろう!」
村中がこめかみに青筋を立てて怒鳴った。
十一月二十二日。宮崎南家庭裁判所第二調停室、第一回目の調停。
村中は、初めての経験に少なからず緊張した面持ちで部屋に入り、裁判官の右側面の椅子に座った。
鶴のような裁判官の左右にはでっぷりした調停人が一人ずつ座っていた。
宮崎学院大学顧問弁護士の川上は、鼈甲縁メガネの奥の目を細め、余裕の表情を浮かべて村中の隣に、その隣の席に林と新田が座った。
相対するように、村中たちの正面に、太郎と代
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