8ジグソーみそ汁/吉岡ペペロ
 
なんかあるか?高校生の顔が浮かんだ。

すぐに高校生のベッドから垂れた手を思い出していた。

なぐさめるような気持ちで喋ったはずだった。

いまのぼくのことやそれまでのことを。

気がついたら母の作るみそ汁のことも忘れて喋り続けていた。

雨が車をたたいていた。

車のなかが宇宙から突き刺さった点のようだ。

高校生がぼくの頬をてのひらではさもうとした。

ぼくは首を動かしただけでそれを避けて高校生を家まで送った。

そしてそこにしばらくとどまっていた。

なんでハラルなんだろう。黒髪のせいか。

高校生のためにそうしていることがハラルに対するとむらいの
[次のページ]
戻る   Point(4)