窓の外/竹森
 


この部屋には鏡ばかりが乱立している。床にも、天井にも。盲目の少女に、僕は服を着させる。彼女は僕の選んだ服だけを着てくれるから、僕は神経質なくらい慎重に服を選ぶ。彼女の肢体はやつれている。それよりも僕の方がもう少しだけやつれている。気が違った科学者が遠心機で砕いた、宇宙の滴ではなく、少女の雨を降らせたから、窓の外は血と肉と骨と腐臭で満ちている。という事にすれば。ほら。僕が受け止めるのに失敗していたら、彼女もその一部になっていたに違いないじゃないか。

「胡麻と蜂蜜、意外と合うから一度試してみてよ?」
「もしも私の指先から根っこが伸びていたら、死体だけを啜って生きる」

君はきっと
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