窓の外/竹森
 
グラスに注がれるべき少女。魔法少女でありながら魔法の使い方を知らない少女。彼女にも夜や朝は存在する。雨か晴れかを肌を通して湿度が教えてくれるのと同様に、狂った体内時計が彼女にとってのそれを規定している。僕の肯定がそれを補強する。二人の言葉だけが、とても正しい。

彼女を部屋の外に出した事はない。外に出せば純潔への憧憬をポエムにえんえんと綴り続けて気が違った詩人に刺されるに違いないもの。だから僕が、この僕が、この部屋で彼女をしっかりと飼ってあげなければいけない。大好きなたまごサンドを口にほうばらせる。

「布団は柔らかくて暖かいもの。鏡は硬くて冷たいもの」
「それだけ。それだけ、だよ?」
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