接続詞が足りない。/竹森
 
耳に語られる事もなく、僕が時折自室で独りアルコールを口に含み煙草の主流煙で肺を焼いているのをわざわざ他人に話すまでもないのと同じく、恥ずべき公然の秘密であり続けるのだろうな。

 僕の頭は、イヤホンの中で小さく凍えながら零れ落ちていく音楽を掻き集めて端的に膨張させる。熱を加えて気化させたのでも、相似の音形を模造して振動の波を倍加させたのでも、ゴム風船に唇を当てて空気を吹き込んだのでもない。僕という手段が手段を取り込み、システムは精妙になっていく。今や僕は歌を歌える。そうして僕は、だんだん僕ではなくなっていく。

 それぞれの振動数で「僕」と声を発する僕たちが溢れかえる日曜の街道を逃れようと
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