うすごおり/そらの珊瑚
 
まり報道されないので、私の中では思い返すこともなく過去のもののひとつになっていた。
けれど今も、被害者はその苦しみの渦中にいて、そうして新たな肉体の痛みに耐えているという。家族の方々も被害者である。特に母親の苦しみを思うとやりきれない。当時、妊婦のつわり薬として、サリドマイドが配合されていたと聞く。私の母もちょうど同じ頃、私を身ごもっていたので、私の母がそれを服用していた可能性だってあったのだ。
(付け加えると、不思議なことに、現在、日本において、サリドマイドは多発性骨髄腫の健康保険適応の治療薬となっている)
そして、その後薬害というものが、なくなってはいないということが本当に怖しい。いった
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