欲望のドア/ホロウ・シカエルボク
 
のは少しずつ、途方もない時間をかけながら血肉に変わっていく、それが、身体で覚える知識というものだ、有体に言ってしまえば成長というものだ、そうさ、全身で知るんだ、本能で、脈動で知るんだ、机の上なんかでは覚えられないぜ、噛みついて飲み込むんだ、それは進化した本能なのだから…


まだ窓は開いている
まだ俺は街路を見つめている
夜が朝に変わろうとする間の一時間は
不思議と誰もそこを通ることがない
きっとその時間は
姿の見えぬなにものかのための時間なのだ
そいつらがそこら中を闊歩しているのだ
俺にだってそいつらの姿なんか見えはしない
だけどそれを感じることは出来る
俺は街路にたいし
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