欲望のドア/ホロウ・シカエルボク
 
いしてどんな
先入観も抱いてはいないからだ
そこをどんなものが通ろうと構わないと
そう思っているからだ
夜が朝に変わろうとする間の一時間
見慣れぬ気配は俺の頬を撫でていく
彼らに目的があるのかないのか
それについてはよく判らない
そこには意志というものはあまり感じられない
とても淡々としている
姿の見えないゾンビの行列のようなものだ


立ち並ぶ二、三階建ての住居や店舗の間をフォクシー・レディのイントロみたいに朝陽が滑り込んでくる、まるで予言のような光景だ、透明なゾンビの行列は掻き消え、始発の電車がレールを軋ませる音が聞こえてくる、それに呼応するようにあちこちの電線や屋根
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