欲望のドア/ホロウ・シカエルボク
 
み込んでいくんだ、ずっと歩いているとそうした見極めは自然に出来るようになる、同じような景色だけど歩いたことのない場所だとか、見たことのない景色に見えるけれどまだ歩いていない場所だとか、そういうことが判るようになる、それは言ってみれば空気に馴染むというようなものだ、周辺に漂うもののすべてが自分にとって正しいものを教えてくれる、迷う必要はない、そこは思考の及ぶ場所ではない、本能が誘われた場所で、そんなもの何の意味も成さない…一番大事なことは反復することだ、同じことを少しずつ少しずつ、違う角度で飲み込んでいくことだ、理解は重要ではない、それは身体のどこかで勝手に整理されていくものだから…飲み込んだものは
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