書店/葉leaf
余計な意志の働きや鋭い目の動き、よく動く表情、すべてに吐き気がする。
私は男の案内するまま、本を見つけていった。大樹の葉の裏側、川底、茂みの陰、何も書かれていない工芸品のような本がそこここにおかれていて、しっとり濡れていた。この本がまとうわずかな人間の臭みが一層私の欲情を刺激する。ただの物だけでもつまらないのだ。美しいものは何らかの不快なものを含んでいなければならない。人間臭さという不快さがあって初めて本は美しい。
すると、急に男は私に襲いかかってきた。そうだ、確かに私は沢山の貴重な物を持ち歩いている。数々の宝石や高価な薬品。男は私を殺してそれらを奪おうとしている。貨幣的な価値でしか物を計れな
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)