さよなら青から/春水八郎
 

そして眼下のスーパーマーケットには
たくさん人が出入りしている
ビルの屋上にある幾つもの室外機は
風にゆっくりとファンを回し、
その階下の窓の中には、
青い廊下を歩く人の黒い影

この開きつづけている濁った目は、
もうこわれているんだろう
そうぼんやり思って
それははっきりと終わりを教えた



とても長いクラクション



もうその部屋にいくことはない
戻れない場所が
いくつも増えて
たまにそこを思いだす
きらきらしてる
たとえば故郷に帰った4年間
その前、逢わなかった7年間
少し色合いを変えた4年間
それが思い出というんだよ、と
教え
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