Miz 6/深水遊脚
、愛していないことを思い知らせてくれた。唇を吸ったとき、少しも嫌なにおいはなく、いちばん近くで感じ取る温もりを五感のすべてで感じ取っていた。同じ大切な人を失ったもの同士が、同じ傷を癒し合うために飽くことなく互いの体を求めた。もっと早くこうしていればよかったのかもしれない。でも今この時でなければこの悦びを経験することはきっとなかった。
「遺書の相手」
「ん?」
「薫子が本当に好きだった相手って、マミちゃんでしょ。」
「もうみんな知っているものね。」
「誰も遺書なんて読んでなかった。噂だけで決めつけて、薫子のこととマミちゃんのことを面白おかしく話した。噂にして決めてかかった誰かの幻につい
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