Miz 6/深水遊脚
 
ついて、それをもっともらしく裏付けるように遺された言葉を当てはめる。それを読むとは言わない。決して。深く考えていなければ、そういう噂や決めつけに流されてしまう。迷いのある人は、迷いのない人にとりあえずすがってしまうの。私もそうだった。薫子が自ら命を絶ったときのことは、正直なところ、うまく思い出せないの。遺書はそのときから繰返し読んでいたと思う。本当に好きな人というのはわからなかった。マミちゃんとレズだったという噂がしばらくして広がった。確かにすごく仲良くしていたし、薫子は家ではマミちゃんのことばかり話していた。でも違う。同性愛なんて、うちの娘に限ってそれはない。自分でも駄目だと思う。でもそう考えていたの。」
私は続きを促すことなく聞いていた。
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