Miz 5/深水遊脚
ったけれど、図書室に行けばいつも彼女がいた。よく喋ったし、本の貸し借りやDVDをレンタルして一緒に見たりすることも多かった。本や映画に関する薫子の熱い語りを聞くのはとても心地よかった。体を動かすのが主で、物事を大雑把に考えがちだった私にとって、彼女の語りはサプリのようなものだったかもしれない。高校は別々で、会うことも減っていった。2年生に上がる前の春休み、彼女は死を選んだ。一方的に思いを寄せてきた上級生の男子生徒と、望まないのに付き合い続け、やはり無理だと別れを切り出しても別れさせてくれず、苦しんでいた気持ちが遺書には綴られていた。それに、本当に好きな相手への恋心が綿々と綴られていた。本好きの薫子
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