バス停の青年/小川 葉
車は、この雪だとわからないね。タクシーは、ふだん乗らないからわからない。バスなら、よほどでもない限り動くから、待ってるといいよ」
「そうですか」
青年を見ていると、なんだか、若い頃の自分を見ているような気がして、かわいかった。
「あ、バス来ましたかね?」
「ん?あれはトラックだ。まだまだ。この天候だから、そうすぐには来ないよ。少し待って」
地吹雪のため、視界が悪く、遠くから大きなクルマが来ると、一見バスに見えなくもない。
「あ、来ましたかね?」
また、青年が言う。
「残念、あれは佐川だね」
この天候だから、バスの到来を願う気持ちもわからなくはな
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