バス停の青年/小川 葉
 

車は、この雪だとわからないね。タクシーは、ふだん乗らないからわからない。バスなら、よほどでもない限り動くから、待ってるといいよ」

「そうですか」

青年を見ていると、なんだか、若い頃の自分を見ているような気がして、かわいかった。

「あ、バス来ましたかね?」

「ん?あれはトラックだ。まだまだ。この天候だから、そうすぐには来ないよ。少し待って」

地吹雪のため、視界が悪く、遠くから大きなクルマが来ると、一見バスに見えなくもない。

「あ、来ましたかね?」

また、青年が言う。

「残念、あれは佐川だね」

この天候だから、バスの到来を願う気持ちもわからなくはな
[次のページ]
戻る   Point(4)