観測者の逸脱/ただのみきや
音語にすらならないオトオトオト……
風邪を引いたふりをする
侵犯されている
胎児になって視ることを拒絶する
良心の内膜を手探りし
ひとつの痛みを見つけては
何度も 何度も まさぐっている
自己憐憫という自慰に終わりはなく
いくにいけずに変異する
怒号破壊自傷自嘲 空(くう) 白(はく) 順不同也チャカポコチャカポコ
風邪をこじらせたふりをする
ちいさな茶碗から
ましろな粥の湯気
うめぼしのかけら少しだけ
削り取られた雪の壁
遠く高く聞こえない凱歌に焦がれる人間の病を
引きはがす冷たい手
答え(自分)を捜しても見つかりはしな
[次のページ]
戻る 編 削 Point(17)