そこにある全てが失われていないというだけの/ホロウ・シカエルボク
にか冷たい寝台から
さほど厳格でもない小さな法廷にシフトしていて
さほど厳格でもない裁判官と
退屈そうな陪審員たちが俺を見つめている
俺はなにかしら自分なりの見解を口にしなければならないと思うのだけれど
当然の如く頭がないのだからそんなこと出来るわけがないという結論に至る
いや、だけど
動かせる、思考出来る、認識出来るーなのになぜ
頭だけがきちんとなくなっているのだろうか?
それともそれは俺にとってなくなっているというだけのことで
彼らには見えているのだろうか、もの言わず虚ろな目の俺の頭が
傍聴人たちがブーイングを始める
おい、待てよ
なんて
俺にはもう言うつもりもない
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