そこにある全てが失われていないというだけの/ホロウ・シカエルボク
失われたままであるのだから仕方がないのかもしれない
温もりを求めるには俺は至らな過ぎる
すべてに業を煮やした俺はどこかしら動かそうと試みた
するとそれは普通に動かすことが出来るのだ
そうして初めて冷静な思考というものが生まれてくる
まるで失われているみたいに見えるのにそれは決して失われてはいないのだ
なによりも俺の全身は連動していて
ひとつの使い慣れた意思によって統率されていた
それで少しはまともな気分になることも出来たけど
それはある意味でもう一度ふりだしに戻るみたいな感覚だった
さて
それでこれはいったいどうした状態なのだね
と
裁判官が俺を促す
舞台はいつの間にか
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