Miz 3/深水遊脚
 


 レグラスの迷いながらの正義感が妙に自分に重なった。自分の限界を悟っていて、そのなかで最善を尽くしていた。慎ましげながら誇りを口にしたことも好意的に解していた。ああいう生き方は誇っていいのだと共感した。よく知っていて、好意を抱く生き方だからこそ、それに対する懐疑もあれだけ出てきたし、それが出てきたことを自分で憎んだり恥じたりということはなかった。それから数日間、迷いながらの正義感とそれに対する懐疑心との間で揺れ動くことになった。

 このことはまた、記憶が消えなかったということも意味していた。どうでもいい、関わりたくない、離れたい。レグラスとの問答以来、そう考えているつもりでいた。で
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