Miz 3/深水遊脚
を書き直した。応急処置的な化粧直しを終えた、とりあえずの私が鏡の向こうにいて皮肉を感じた。普段なら露ほども気にかけない日常のルーチンだったが、人のとりあえずの解釈を批判したあとではそれなりに気になった。200万人の思念の糸の集合体、控え目にレグラスは自分を紹介していたが、何という数だろう。それを相手によくもまあ、あんな大見得を切ったものだと、我ながら滑稽だった。結局は私も筋が通っていないのだ。どうもいけない。こんなふうに何でも悪いほうに考えるのは、弱っている証拠だし、弱っているときは何をしてもろくなことがない。早く帰って休みたかった。帰りの電車のなかでは文庫本を読んでいたが全然集中できなかった。
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