渦/AquArium
いつもより高い位置にかけてある
シャワーをとる
水滴も壁一面に広がる
湯気で見えないほど白い空間
お酒に酔わないわたしの判断は
いつだって冷静だから
この先に起こることくらい
容易に想像がついている
もう何度来たんだろう
まるで自分の家のように
くつろいでベッドに横たわり
テレビを見ている
ひとりじゃないんだ
という現実を噛み締めて
温かさを感じながら
何とも言えない歯痒さに包まれる
恋人らしく振る舞うのは
26時を過ぎたころ
その瞬間は誰のものでもない
その瞬間だけは
語尾がやさしくなるタイミング
少しだけわかってきた
わたしの名前
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)