渦/AquArium
 
名前を呼んでいいのは
この時だけだから

なんの制限もなく進む
あなたの奥の
奥の方へ、
本能が呼吸している

わたしはそれでも
常にもうひとりの私に
監視されていて
私はふたりを見て嗤っている

絡ませて
わざと離れて
背けて
引きつけて

ーゆっくりと沈んでいく大きな身体にこれでもかというほどの力を込めて、離さないでいる。冷たくならないように全身を使って必死で掴んでいる。限りなくゼロ距離に近いこの瞬間を少しでも、少しでも長くー

光が射す前に
落ちそうな毛布をかける
子どものように眠る
罪深い大人にキスをする

少し目を覚まして
あなたは心臓に引き寄せ
またやさしい顔をする
やさしい顔で残酷なことをする


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