えいえんタウン/竹森
 
ましてや荒野でもありません。
僕には帰りの電車賃がありません。
そもそもこの辺り一帯には電車のレールが敷かれていません。
そうでした。
帰りの電車賃は一本のホット缶コーヒーとなって消えたのでした。
それが昨日の事でした。そのコーヒー缶が
いくら冷めても温かいような気がします。
もう中身は空っぽですが。

語れば語るほど崩れ(てしまうのです。
それでいて、いつまで経っても)落ちてはゆかないのです。
だからたとえば
「いつかぼくらが、すてきなおじいさんと、おばあさんに、なれますように」
というセンテンス。
それを僕には言わせないでください。
そう、
あの日僕らは妖精さえ
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