メケ/ただのみきや
 
から冷たく睥睨する青いトマトを齧りながら
運命論的包囲網をすり抜ける黒メッキの呼吸が子どもたちへ波紋する
傷のない素肌を縫合しなければならない逐一チクリ
堕胎せず世界に刺青しなければならない濃くイッコク
時間を屑籠にした未来を否定して全力でキャベツを千切りにする残像だ
撹拌されている必ずしも時系列通りと思うな撹拌されている
旗はあるだけだ泳いでいるのは風であり風はおまえであり
おれは卵を割るだけだそして気怠い午後に備えて甘い鞭/無知で
武装した無法者の子孫として幼気なおもちゃを密輸し続けなければ
ならないナラナイノダ強迫観念でも固定観念でも諦念でもなく
メケ 天からの自由がおれ
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