手術/葉leaf
 
自分で支配できない莫大な社会という領域に常にさらされていることから来る、寄る辺なさや孤独や不安、つまり未知のものや不可解なもの、咀嚼できていないものに無意識のレベルで侵食され、そういう、社会による生活や私性への侵犯との相克の疲れであるだろう。例えば仕事で使う書類ひとつとっても、それがなぜそのような様式であり、なぜそのようなことを記載しなければならないのか、理由も分からないまま、異物感を感じながら私たちは書き込んでいるのである。至る所に、他者の仕事の痕跡が、もはやその理由を参照できないものとして堆積している。書類を作った人は必ずいるし、様式や記載事項も必然性があって定められている。だが仕事をしている
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