当然のこと/はるな
光も影もはじいて、つるりと透きとおって光っている。わたしは、そのために光に関する文章をいくつも思います。この鋭利な羽みたいにきれいな爪が、やわらかい肌をじぐざぐに引掻いてしまうのもかなしく、可愛らしい。だんだんと手足の大きさを理解して思うように使えるようになってきたために傷が減ってきたのを、夫は喜ばしく思い、わたしはもっとほかの気持ちも感じている。
こんなふうにまるまると大きくなっていく娘を撫でていても、やっぱりわたしには母親という感慨がわいてこないことも不思議で、いつになったらわたしはわたしになるのだろう。目のまえを、美しく、おそろしく、不思議なものやことや人が行き来してゆき、夫も娘もそのひと
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