帰り道/吉岡ペペロ
 
た。人身事故のようだ。
お金のことかな、恋愛かな、それはないか、鬱かな、私はそんなことを一瞬考えひょっとするとあの娘が自殺したんじゃないかと妄想した。
妄想したらうらやましくなくなった。うらやましくなくなったら、うらやましかったんだ、とじぶんに声を掛けていた。
私はにやっと笑ってしまって、まだ残る手足のしびれを思い出していた。
夜お母さんが叫びだす。弟と豆電球で遊ぶ。お父さんはいびきがしないから起きているはずだ。豆電球で遊んでいるあいだじゅうずっと手足がしびれていた。朝になるとお父さんはいつも私に偉いなあと言って出て行った。
夕方帰宅してテレビを見ていたらふすまからお母さんが出て来た。お
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