帰り道/吉岡ペペロ
 
のことを思い出していた。
私は叫んだり泣いたりはしない。寝込んだりもしない。それは私が働いているからかも知れない。
人間ヒマだとろくなことしない、とは誰が言ってた言葉だったか。
電車のドアが開閉されるたび私みたいのやサラリーマンが乗車してきたり降りたりしていた。
そんなあたりまえの風景を見つめながらこのひとたちがあの娘の話を聞いたらどう思うだろうかと考えていた。
お母さんがなんどあんなふうになろうとその友達の家にいったのは何故だったんだろう。
もう大丈夫、もう心を騒がせない、それを確かめにいっては撃沈されていたのだろうか。
私はあの娘とまたランチをするのだろうか。
電車が停まった。
[次のページ]
戻る   Point(14)