三番目の彼女(後編)/吉岡ペペロ
 
遺体が置かれていたという。
俺はそのニュースを浴びるように見ていた。
耳のうしろが痛くなっていた。動悸がはやくなっているのが分かった。
サエコが猫と撮った写真が公開されていた。よく見馴れた写真だった。
サエコについて知らないことが多かったことが不思議だった。
でもそんなのは当たり前のことだとすぐ思い直した。
ルルがカゴの床にいることが多くなった。
あんなに鳴いていたのはいつ頃までだったのか。
ルルはあきらかに衰弱していた。
獣医に診せにゆき薬をもらい俺は思い出したように話しかけるようになった。
ルルはもう風鈴を鳴らす元気もなかった。
ガリガリじゃないですか、獣医に責めるように
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