三番目の彼女(後編)/吉岡ペペロ
うに言われて俺はじぶんを責めた。
一日中部屋を暖房であたためた。
会社から帰るたび朝起きるたびルルをすぐ見にいった。
ニュースは驚くほど長い時間この事件を報じていた。
サエコの声が消えなかった。
家族の話や職場の話、友達の話や子供の頃の話。
風鈴がけたたましく鳴っていた。
俺は電子レンジのうえの風鈴に目をやりまたテレビに目を移した。
それはテレビから聞こえているような気がした。
ニュースが次の話題に移っていた。
俺は立ち上がりふらついた。
電子レンジのほうに向かいながら俺はサエコのほうに向かっていた。
風鈴がやんでいた。
サエコもルルももういないのだ。
ここがどこなのか分からないがもうここにはいないのだ。
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