成人/葉leaf
る、水の手、風の手、あらゆる手を他人に差し伸べる、だが少年の僕にはまだ手が一本も生えていなかったのだ。いや、生えている手はどれも不気味でどろどろしており、それをいかにかぐわしく他人との握手のかたわれとするか、僕は森林の一葉一葉から辞書を編み出さないといけない。
僕は手も足も持たないただの太陽で、転がることしか知らない。とりあえず人間の町を転がってみると、大量の水で冷却されるし鑿で削られるし、人間の町から追い出されては少しずつただの物体になっていった。僕がまともな人間の形でもって荒野を歩けるようになった頃、もはや僕はあらゆる人間から毛嫌いされ、あらゆる町から締め出されていた。僕は太陽から人間に
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