成人/葉leaf
間になった。こんなにも夥しく傷ついてようやく。だというのに、人間になった僕にはもはや人間としての居場所はないのだ。再び太陽に戻れない僕はこっそり月になった。夜、ひそかに人間の町を照らしながら、人間に思いを注ぎ続ける月になった。
月になった僕は、自らの反射する光を操って光の人間となり、夜の孤独な少年や老人たちと少しずつ会話を交わした。この夜という莫大な海に墜落する光の人間として、僕は少しずつ色彩と音響と芳香を自らの手から生み出すようになった。成人になるということ、それは太陽が月に変わり、月が再び人間になろうとする、その叶わない夢の試み一つ一つであり、いつか人間の町に人間として住むという夢の祭壇に、自らの体ごと血まみれの生贄として捧げるということだ。
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