元日の夜に/草野大悟2
 
した娘たち一家と、こうして酒を酌み交わしながら孫たちの学校や保育園での様子を聞いたり、娘婿たちが撮ったビデオカメラの映像を、60インチの大画面テレビで見る。一年で最も楽しいひとときである。
 二人の娘たちの日常が平和で、家庭生活も円満であることが手に取るように分かり、心が温かく満たされる。私の横に座って、長女と同じように顔を真っ赤にしている妻の顔にも、いつもにも増して笑顔が溢れている。
「ねえ洋ちゃん信じられる、香織、あと十一日で三十九だよ、三十九。最近は、時間の流れがなんか早いのよ、とても」
「そうよねぇ、お姉ちゃん。亜紀は十月に三十八になるけど、早いよね、確かに」
「四十過ぎたらもっと
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