元日の夜に/草野大悟2
とお猪口をテーブルの上に出した。
おいおいおい、いくらなんでも人良すぎだろう美智子。目で語ったが、美智子は、ん? という顔をして小首を傾げただけで、にっこり笑っている。この人はいつだってそうだ。
人を疑うことを知らない。
ええいもう、どうとでもなれだ。
それに、こっちも屈強? な男が三人いるんだ。いざとなったら……、どうしよう……。「それじゃ、お言葉に甘えまして」
田中がおせち料理の唐墨を取り皿に取った。
「君たちもご相伴にあずかったらどうだい」 もじもじしている二人に言う。
「はい、それでは遠慮なくいただきます」
三人とも、お言葉に甘えたり、遠慮なくいただいたりするんだ
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