元日の夜に/草野大悟2
すと、その三人が家の中に入って来た。
三人ともいかにもひ弱な体格をしている。 これなら、たとえ何があっても勝てる、そう確信した。
「すみませーん。せっかくの一家団欒の最中に」
「そうですねぇ。普通あり得ませんよね。こんなシチュエーション」
私は、すっかり熊本弁訛りの標準語になって精一杯の不快感を示した。ところが、三人は、まったく意に介さず
「わぁ、豪勢なおせちですねぇ。それに、このお酒、あの獺祭じゃないですか」
と舌舐めずりしている。
そうなると黙って放っておく訳にもいかないかな、と思った途端、
「せっかくですから、よかったらどうぞ」
美智子が三人分の取り皿と取り箸とお
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