元日の夜に/草野大悟2
 
に見入り、大声をあげて笑い転げている。平和だ。平和そのものの日本の正月だ。

 ピンポーン。イターホンが鳴った。モニターには、七、八人の男たちが映っている。
「今晩は、田中です。夜分、本当にすみません。どうしてもお話ししたくて、元日にはなはだ失礼かとは思ったんですがお伺いした次第です」
 年かさの恐縮した顔がモニターにあった。 本当に、恐縮しているらしいその顔をよく見ているうちに、私の中に、自分でも説明できない、なにかとても懐かしい気持ちが湧いてきた。
なんだ、この懐かしさは?
 なんだ、この温かさは?
 こんな男たち見たこともないのに、話したこともないのに。
 私の頭の中をい
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