エブリバディ・セイ・ハッピー/ホロウ・シカエルボク
いた
どんな祈りがそこにあったのか
どれだけ目を凝らしてももう判らなかった
暗く不安定なコードで
モノローグをずっと
貯水池からずっと
生い茂った樹木の裏側ばかりを写す水面は
蜂の巣にされた誰かの死体のようだ
方角の判らない風が混濁した意識のように吹いて
沸騰した脳味噌みたいに波が立ち始める
路面の血液はきれいに洗い流された
今頃はどこかの屋根の下で葬儀の準備
悲鳴だけが本人よりも長く生き残り
こうして物好きな誰かに記録されてしまう
まだ若い女の子だってさ
生きてればきっとたくさん楽しいこともあっただろうにね
なんて世間話の種にしている年寄りたちの人
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