エブリバディ・セイ・ハッピー/ホロウ・シカエルボク
 

適当に切符を買って
二時間ほどで行ける街に着いた
そこで見えるものもたいして違わなかった
集団的な幸せは嘘をついていて
ユニクロのフリースはコーヒーとは釣り合わなかった
異様に毛並みの汚いまだら模様の猫を撫でようとして
近くの家屋の前で腰を下ろしていた老婆に止められた
「うつるよ」と彼女は言った
俺は首を横に振ってそこを離れた
それ以上何も起こらなかった
次の列車までにはまだずいぶん時間があった


暇を持て余して駅から少し歩くと
廃棄された寺に辿り着いた
立派な門は崩れかけていて
くぐるには勇気が必要だった
すべての扉が破壊されていて
あらゆる木が朽ちていた
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