向き合う鏡/為平 澪
 
きた 私の胎内の遺伝子意志
強い子におなり、良い子におなり、何かをして見せなさい、
そんな言葉に耐えて来たお前の憤り 背中の二つの哀しいふくらみ

お前の食器を鳴らす音が消えると 私は哀しくなる
お前に絵本すら読んであげられない自分の貧しさを お前に詫びる

お前は誰からも笑われることなく育ち 誰にも笑いかけることができない
立派と呼ばれる大人の振る舞いを覚えては 失くしてゆく夢に追いすがる
 (ヘビが赤い赤い舌をチロチロ出して お前を舐め盗ろうとしている・・・

お前の夢 お前の道 お前の未来
それらを奪ったのは この私です、と 
責める事も責める言
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