僕 春と修羅 序より/梼瀬チカ
いる
生きてよ
見えているのか?
生きてくれよ
聞こえているのか?
僕
いつものように
現実という
虚無の中の幻を見ながら
ぼんやりと予感しながら
僕は
もう一度僕は
僕に言い聞かせながら
「いかにもたしかにともりつづける」
夢の続きのどこか
いつかのいつかの
暁の射す
まばゆいばかりの
光の中の僕を
僕たちを
発見してゆくんだろうか
「因果交流電燈の
一つの青い照明です」
気付けば夜更けが
僕を待っている
一日の帰り道
一本の電信柱に
ついた街灯が
僕を照らしている
(ひかりはたもちその電燈は失われ)
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