僕   春と修羅 序より/梼瀬チカ
 
深く
憂鬱に沈んでゆく
いくつか含んで
言葉にされた
孤独な一言一言が
再び、初めに中傷された
何かの誰かの刃より
深く鋭く、剔りながら
彼に血を流させる
気付けば、見渡す海には
くらげのような白い
人の群が浮かび
流れ漂っている

(あらゆる透明な幽霊の複合体)

だから僕は
過去にも
現在にも
未来にも
流れ行く
全ての時代の映像や群像と一緒に
すごく些細な
聞こえてくる呟きや見たような気がした
誰かにとびのきながら、おののきながら

「風景やみんなといっしょに
 せはしくせはしく明滅しながら」

いつも呟いている
言葉を口にしている
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