洗練された実在しない生活の話/木屋 亞万
 
とりかかる前に
面倒くささに支配されてしまったら
メデューサに見つめられて石化した人のように
心の底から凍り付いて何もできなくなってしまうんだ
気が付けば午後の四時が近づき慌てて家を飛び出すけれど
駅の駐輪場にはもうたくさんの自転車が止まっていて
街には休日を楽しみきっている人であふれていて
自分だって何か楽しいことをしないとと思いながら
いいアイデアを一つも思いつかないまま街をさまよって
何一つ満足できないまま休日は終わっていってしまうのさ
夜が来るのが怖くて寂しくて
誰にどうやって助けてもらったらいいかわからないんだ
そばに君がいるだけで休日は輝いたものに変わるんだって
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