洗練された実在しない生活の話/木屋 亞万
えなくていいんだ
君と二人どこかへ出かけて
楽しい休日を過ごすことだけに夢中になればいい
縄を解かれた犬のようになって公園を散歩してもいい
すこし遠くの評判のいいレストランでランチをしてもいい
君がずっと見たがっていた映画を観に行くのも悪くない
一人でしたいことなんて何一つ思いつかないのに
そばに君がいるだけでどの予定も輝いたものに変わるんだ
空は青い広くて大きい
川のそばに行くまですっかり忘れていたことさ
都会には身を寄せ合うように高いビルばかり建つので
観察箱の中に閉じ込められた蟻みたいな気分になるよ
動き始めれば億劫なことなんて何もないのに
目が覚めて何かにとり
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