竹林の横道/游月 昭
とするのだが車から降りても携帯は圏外のままでかけられない。仕方がないのでまた車を走らせることにした。
「待てよ?」
おかしい。どう考えてもおかしい。ヘッドライト以外の光が見えない。私は再び車を停め、ヘッドライトを消した。車のメーターが光るだけで車の外は真っ暗で全く見えない。
「夜中の12時?」
背筋が凍る。慌ててライトを点けて車を発進させ、時速80?で飛ばした。更に狭くなる道の竹が容赦なく車体を打ち付ける。一刻も早くこの道から出なければ。
路面の凹凸が私の体を震わせる。
「大丈夫だ!このまま行けば海岸通りに出る筈だ。」
車内は激しい音に包まれている。
「もう直ぐ、もう直ぐ。」
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