竹林の横道/游月 昭
 
をなでおろし、道を尋ねようと車を降りた。
 ところがおじさんと牛の姿が見えない。竹林の中や車の前方も見るが誰も居ない。ただ竹林が風に擦られる音だけ。寝ぼけているのか?それにしては土下座の時の路面の感触を膝と手のひらがリアルに覚えている。気味が悪いのでその場をすぐさま立ち去ることにした。

 道は更に竹林が被り暗さを増したのでヘッドライトを点けて進んだ。ルームミラーには暗くて何も映らない。腋の下を汗が一筋流れ落ちる。ダッシュボードの時計を見ると、既に12時を過ぎている。ここまでどうやって時を過ごしたのか、30分程度と思えたのが、4時間も経っていることになる。車を停め、仕事場に電話をかけようとす
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