竹林の横道/游月 昭
た。随分と長い時間居眠りをしていたのだろう。既に夜の虫が囁いていた。友達は諦めて帰っただろう。それより父に怒られると思うと涙の筋を再び濡らし始めた。私はマンホールを飛び出ると、とぼとぼと家に向かった。
顔を上げると目の前に牛。私は急ブレーキを踏んだ。危うく牛とおじさんをひき殺す所だった。おじさんは極限に驚いた表情の後、怒りの表情に変わった。私は車を降り、土下座をして謝った。おじさんは渋々私を許した後、牛を通してくれと言う。私は車に乗り込み、竹林に車を擦りながら幅寄せをする。キーキーとひどく車体が鳴った。おじさんは嫌がる牛をかろうじて引っ張り、牛は車体に体を擦りながら通り抜けた。私は胸をな
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)