秋の階段/Lucy
 
見よ 夕焼けを照り返すほの暗い進化の井戸に化石した都市はうずくまり
たわわな花火をしげらせ枝はしなだれて
反転する視界に渦巻く積乱雲のふもとの石の階段
奈落の淵にさえずる木の実の色のように君の思い出は落ちてゆくのだひとつひとつの意味は羽化を遂げ
歴史の翼は君の心臓の重さに削られるデジタルの気流に吹きあげられ言葉はついに必要を取り戻す
るいるいとつらなる夢の屍骸の野辺の果てにひらひらと舞い落ちる暴力と欲望とに引き裂かれた亡霊の口から放たれて

ワタシハジユウニナリタイワタシハジユウニナリタイワタシハ・・・

錆びた鉄柱に意味は食い下がりバス停に舞う鳥の羽根の根元から鎮まる夕暮れの空
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