イメージだけがひとり歩きだす場所で/ただのみきや
 
ることもなく
そうしてただひとり二人はただ独りの火種のように
かき集めるまだ歯も揃わない言の葉の衣擦れに欹て
指先が止まれば一瞬に老いて奪われる硬化した自我を一枚
また一枚と脱ぎ捨てて物語は死なない否死ねない
物語は寄生するそして新種のように
色も形も異なる花を咲かせて魂の人型に蔓を捲き
棺の中までも埋め尽くす終わりもなく限りもなく
真理につきまとう影のようにそれは自ら語らず
どこまでも騙し続ける顏をそむけたくなるほど甘美な嘘に
舌と唇を委ねてしまう者がまた現れて果てしなく紡がれる
宛も現実の面持ちで虚構のジグゾーパズルにねじ込まれた
わたしは句読点もなく反乱する砂漠に埋も
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